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2011年2月1日 聖マリアンナ医科大学 解答速報 [CVX-化学発展演習 日記]

こんにちは~ (*^_^*)/

さる2月1日に聖マリアンナ医科大学医学部の入試がおこなわれました。

という訳で、解答と簡単な解説をば・・・・

問題はこちらを参照してください

第1問 [1] 塩素の同位体

       1).35Clと37Clで異なるもの

解答 () 中性子数

        2).35Clの存在比

          Clの原子量35.45 35.00×(x /100)+37.00×(100-x )/100より

                    x 77.50%

                           解答 77.50%

       3).分子35Cl37Clの存在比

35Clと37Cl存在比の積になるが、35Cl37Cl 37Cl35Cl があるの

で2倍することを忘れずに。

∴ (77.5/100)× (22.5/100)×2= 34.875/100より34.88%

解答 34.88%

 

    [2] 緩衝溶液の調整

            緩衝溶液は希釈してもpHが変化しないので、表のpH7.40の値を用いる。

          解答 A 950mL     B 4050mL

 

第2問 [1] 二酸化硫黄が水に溶けて酸性を示す理由

溶解度は9.4g/100mL(25),亜硫酸のK11.3×102

解答例 水とSO2H2OH2SO3のように反応して、

   比較的酸性の強い亜硫酸を生じるため。


    []  炭酸カルシウムの懸濁液を中和剤として加えたときに気体の発生する理由

      炭酸の電離平衡はCO2H2OH2CO3の平衡定数が1.7×103なので、

   見かけ上の電離平衡CO2H2OHCO3HpK16.35となる。

          解答例 炭酸よりも亜硫酸の方が強い酸であるので、二酸化硫黄と水

       から生じた亜硫酸によって、CaCO3H2SO3CaSO3H2OCO2のよう

炭酸が遊離して、二酸化炭素が追い出されるため

    []  炭酸カルシウムが炭酸水に溶解する反応式

解答例 CaCO3H2OCO2Ca(HCO3)2

      []  石灰石から気体を発生させるとき希硫酸を希塩酸の代わりに使用できない理由

石灰石は水に不溶性の炭酸カルシウムであり、強酸を作用させると炭酸が遊離して強酸とカルシウムの塩を生じる。

解答例 塩酸との反応ではCaCO32HClCaCl2H2OCO2の反応で水溶性の塩化カルシウムを生じて反応が継続するが、 硫酸とのCaCO3H2SO4CaSO4H2OCO2の反応で生じる硫酸カルシウムは水に難溶であり、表面に膜を作って反応を妨げるため。

 第3問 [] アルコール消毒とタンパク質の変性,冷却作用

          1).タンパク質の構造を参考にして合成された高分子

解答 () 6,6-ナイロン

      2).ジスルフィド結合はどの化学結合に属するか

                              解答 () 共有結合

      3).ジスルフィド結合を還元剤で切断して得られる官能基の構造と名称

                       解答 SH 

             チオール基(メルカプト基,水硫基,スルフヒドリル基)

      4).水素結合とは何か

解答例 正に帯電した水素原子と負に帯電した陰性の原子間に働く、

   主として静電的に働く結合で、分子間の水素結合では極性の

   大きい分子間のものほど結合力が強い。

       別解(水素結合でHと結合する元素名を明記した例)

電気陰性度が大きいフッ素,酸素,窒素などの原子と共有結合して正に帯電した水素原子が,その水素原子と直接共有結合していないフッ素,酸素,窒素などの原子と静電気力で引き合うこと。

      5).コロイドとコロイド溶液

                解答例 媒質中に分散している微粒子の直径が1nm(109m107cm)

から103nm(106m104cm)の範囲にあるものをコロイド粒子といい、

コロイド粒子が分散している分散系をコロイドといい、媒質が液体

のコロイドをコロイド溶液と呼ぶ。

      6).アルコールが冷却作用を示す理由

解答例 液体の蒸発は吸熱変化であり、エタノールは揮発性が高いため単位時間あたりの蒸発量が大きく、多くの蒸発熱を吸収するため。

    []  血漿について

          1).血漿のpHの大きな変化で死に至る理由を酵素の働きと性質より説明

解答例 酵素は活性中心という立体構造により、特定の基質

(反応物質) に特異的に作用する基質特異性がある。

立体構造を構成する結合の内、酸性アミノ酸と塩基性

アミノ酸の残基は、中性付近でイオン化してイオン結合

しているがpHが大きく増減するとイオン結合が切れて

立体構造が不可逆的に変化(変性)して、酵素作用を示さ

なくなる(失活する)。生命活動は酵素反応の積み重ね

なので、酵素が失活すると生命活動に支障を来すため。

      2).体外に血漿を放置した場合のpHの変化

血しょうは炭酸と炭酸水素ナトリウムの緩衝溶液である。その水素イオン濃度の式は[H][H2CO3]K/[HCO3]の式で表され、[H2CO3]/[HCO3]は炭酸と炭酸水素ナトリウムの比とほぼ等しい。体内の方が二酸化炭素分圧が高いので、体内の方が二酸化炭素分圧が高く、[H2CO3]が増加して[H]([H2CO3]/[HCO3])×K1も大きくなる。よって、二酸化炭素分圧の低下に伴い、水素イオン濃度が低下する。

                               解答 () 増加する

      3).胃液(pH2.0)[H]は血漿(pH7.4)の何倍か

                        10-2÷107.44.01×1062.5×105

                       解答 2.5×105

      4).緩衝作用とは何か

       解答例

外からの作用に対して、その影響を和らげようとする性質

を持つ溶液

       別解

純水を加えてもpHが変化せず、少量の酸や塩基を加えても

pHが変化しにくい溶液

     [] グルコースについて

1) この単糖は比較的水に溶けやすい。その原因は、ある基を数多く持っているからである。その基の構造と名称を書きなさい。ただし、構造は原子間の結合を省略しないで表すこと。

解答例

構造 -O-H  名称 ヒドロキシル基 (ヒドロキシ基,水酸基)

     2).脱水縮合とは何か

       解答例

2つの官能基の一部が分離して水を生じ、同時に残った2つ

の官能基の部分が結合して新しい官能基が生成する反応。

 

      3).浸透圧とは何か

       解答例

溶媒分子を通すが溶質分子を通さない膜(半透膜)を隔てて、

純溶媒と溶液を接すると、溶媒側から溶液側への溶媒が浸透

する。この浸透を止めるために、溶液側にかけるべき過剰の

圧力で、希薄溶液では絶対温度と溶質のモル濃度にほぼ比例

する。

      4).グルコースより高分子状態で貯蔵した方が浸透圧の上昇を抑えられる理由

解答例 浸透圧は溶質粒子の濃度(mol/L)に比例するため、同じグルコース単位があっても、多数のグルコースが重合して高分子を形成している方が、溶液中の濃度が小さく、浸透圧も小さくなるため。

[]    無機塩類について

1) 塩化ナトリウムの化学式と選択した理由。

解答 ()組成式

解答例 塩化ナトリウムは陰イオンの塩化物イオンと陽イオンのナトリウムイオンからなるイオン結晶でありNaClは化合物中の元素の最も簡単な比を表している。また、イオン結晶では明確な分子は存在しない。

    2).Naが水和される仕組み

       解答例

水分子は電気陰性度の大きい酸素が負に,電気陰性度

の小さい水素が正に帯電している。ナトリウムイオン

が水に溶けると、水分子は酸素をナトリウムイオンに

向けてクーロン力により結合して取り囲む。

これが水和である

 [] 脂肪の構造と性質

1) ミセルとは何か。

解答例 親水基と疎水基を有する物質を水中,または有機溶媒中に入れると、溶媒と混じり合わない性質を持った部分を内側にして会合する。この会合による構造をミセルという。

2) 中性脂肪を構成するエステル結合の構造。

構造 エステル結合.gif

     2).脂肪を石けん水に入れて振ると乳濁液になる理由

          解答例

水と脂肪を混合しても、表面張力によりすぐに分離してしまう

が、石けん水では水と脂肪の境界面に親水基と疎水基を持つ

セッケン分子(イオン)が配列し、分散したまま安定に存在させ

られるため。


    []

1)フェーリング反応は何反応か

  解答 () 還元

2)タンパク質を除いた血漿がフェーリング液を還元する理由

  解答 () グルコース

3) 2)の性質を有する官能基の構造は原子間の結合を省略しないで表すこと。 

構造 アルデヒド基.gif 

名称 アルデヒド基

     4).フェーリング反応によって生成する官能基の構造と名称

構造 カルボキシル基.gif 

名称 カルボキシル基 または カルボキシ基

 聖マリは、ここ数年ほぼ同じ内容の問題が繰り返し出題されていますね。水素結合に関する説明問題は、しばしば出題されるところですから、しっかり確認しておきましょうね。

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