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電子殻と電子軌道 (入門編) [C3J-東大化学 日記]

こんにちは~ (*^_^*)/

いよいよ、新学期ですね。C3J及びC3JXの春期講習では、原子の構造から酸・塩基までを駆け足で確認していきます。とは言え、たった10時間では、いかにも時間が少ない。という事で、授業では取り上げきれないところを書き綴っていきたいと思います。

さて、今回は、原子の電子配置に先だって、電子殻電子軌道ついて説明します。

 

電子殻と電子軌道

 分子や錯イオンの立体構造は、電子軌道で説明できます。また、イオンの価数についても、電子軌道を知っていると理解しやすいです。電子軌道について、フォトサイエンス(化学図録)などでも触れられてはいますが、私立の進学系一貫校を除いて授業で扱うことはほとんどないようです。電子軌道の種類と数について簡単に解説しましょう。

    主量子数 = 簡単に言えば電子殻が内側から何番目にいるかを表す自然数

  電子 = 電子軌道の集まり。主量子数nの電子殻はn2 個の電子軌道を含む

  電子軌道 = 固有の主量子数(所属する電子殻)方位量子数(球形や亜鈴形などの軌道の形状)磁気量子数(軌道の方向)を持ち、1つの電子軌道には1組の電子対(逆向きの自転(スピン)をもつ2個の電子)までしか入れない(パウリの排他原理)。方位量子数により、s軌道(球形)p軌道(亜鈴形)d軌道f軌道g軌道h軌道になる。

 s軌道 600px-S_orbit.png

  K殻を含む全ての電子殻に1個ずつ存在します。(図はwikiより転載)
    L殻各以降の全ての電子殻にx,y,z方向に伸びたものが各1個(計3個)ずつ存在します。 (図はwikiより転載)
    M殻各以降の全ての電子殻に合計5個ずつ存在します。(図はwikiより転載)
      N殻各以降の全ての電子殻に合計7個ずつ存在します(図はAtomicOrbital.povのHPより転載)
 

       d軌道の形f軌道の形は覚える必要はないですが、s軌道とp軌道は有機化学や錯イオンなどの立体構造を説明するときに必要となる場合があるので、覚えておくことを推奨します。

K殻からM殻までの電子軌道と電子殻の関係は、下図のようになります。

02-原子の構造-電子殻と電子軌道.gif

L殻やM殻は、複数の電子軌道が重なっていますが、ちょっと凸凹した球状です。とりあえず、電子軌道とは電子殻をマンションのフロア(階層)と考えたときの各個室にあたるものくらいのイメージでとらえてもらえれば十分ですよ。

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  • 少し難しめとのことです。
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