突沸と沸騰石 [C2J-東大化学 日記]
こんにちは~ (*^_^*)/
寒いですね~。天気は快晴だったのに、肌寒いほどでしたね。本当に、温暖化しているのでしょうか?
沸騰石を入れずに、試験管の水を加熱すると・・・・(^^;)
この実験では試験管の底をあぶっていますが、正確には『斜めに傾けて内容物の上部あたりを加熱する』のが基本です。
設問:「沸騰石は液体の突沸を防ぐ事が出来るが、突沸とは何か。また、なぜ突沸を防げるのか説明せよ」
論理的に記述された答案の少なかった問題です。
「突沸は突然沸騰すること」とか「液体の温度が急に上昇して沸騰が起こることと」などという答案もありました。また、沸騰石
の役割が、「徐々に沸騰させること」など論理的と言えない言葉の羅列も目立ちましたが、これでは設問に答えている事にはならず、得点できません。
突沸のポイント:(沸点を超えても沸騰していない)過熱状態での沸騰
ゆえに、「沸騰していなかった液体が沸点を超えた温度で突然爆発的に沸騰する現象」
のように、まず「沸点を超えた温度(過熱状態)になっている」旨の記載がないと得点は低いですよ。
さらに、
「沸点よりも高温なので蒸気圧が外圧より高く、一端気泡が生じると急激に膨張し周囲の液体を飛び散らせる」旨の記述が必要です。
これはエタノール(沸点78℃)を加熱した実験です。沸点を超えて85℃位まで過熱しています。そして突沸が起こり、温度が沸点まで急激に下がっていますね。
突沸を防げる理由:「沸騰石が多孔質であること」および「小孔から気泡が発生すること」
それによって「沸点で沸騰すること」が記述されてい
る必要があります。
それ以外の記述は本質論ではありません。
解答例
突沸:蒸気圧が外圧(大気圧)と等しくなると、液体内部でも蒸発が起こる(沸騰)。しかし、液中に蒸気が空間(気泡)をつくるためには、何らかのきっかけが必要であり、きっかけがないと沸点を超えても沸騰していない状態(過熱状態)になる。過熱状態で沸騰が起こると、蒸気圧が高い為に、激しい蒸発(液を飛び散らせるような爆発的な蒸発)が起こる。
突沸を防げる理由:沸騰石は多孔質で内部に微小な空間があり,加熱に伴って少しずつ内部の気体を微小な気泡として放出する,この気泡が核となって液体の蒸発を促進するため,過熱が送りにくく,突沸を防ぐことが出来る,
使い込んだ鍋などは底に傷が付いていたりして、傷が沸騰石の小孔の役目を果たします。
ところが、ガラス器は傷が付くと割れてしまうため、割れていないガラス器には傷が付いないことになります。
(丸底フラスコに砂を入れて振ってみると傷が付いてパーンと割れますよ)
だから、ガラス器で液体を加熱する場合、基本的に沸騰石を入れておく必要がある訳ですね。
電子レンジでコーヒーをチン ρ(・・。) コレ
- 作者: 田中 陵二 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/04/27
- 有機化学の実験室でしばしば起こる事故例や失敗談の集大成です。この手の話は恥ずかしくて、普通は表舞台には出てきません。「秘伝」として水面下で密かに伝わって来るものです。それが、まとめて読めるんだから、これは貴重な本です。
また、失敗や事故の原因についても、一つ一つ丁寧に解説してあり、教育的でもあります。研究としての実験を始めたばかりの、「有機化学者の卵」には必読図書として薦めます。 ・・・なにより、人の失敗ほど面白いものはありませんしねぇ。 文句無し、星5つ!
(amazon書評より)
教科書にない実験マニュアル よくある失敗・役だつNG集 (KS化学専門書)
- 作者: 西脇 永敏 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/10/21
- 実験をやったことのある人なら何かしらの心当たりがあるケースが多く紹介されています。
実際、自分もいくつか該当したものがありました。
そのたびに教授が呆れた顔をしていたのを思い出します。
(amazon書評より)
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