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Ⅲ期 第2回 有機化学 炭素の結合 [C2J-東大化学 日記]

こんにちは~ (*^_^*)/

反応性が乏しい飽和炭化水素と違って、
反応性が高い不飽和炭化水素は、入試問題でも構造決定などがよく出題されます。

不飽和炭化水素の性質を理解するには、先ずσ(シグマ)結合π(パイ)結合の違いを知っておく必要があります。

簡単に言うと、
 σ結合 = 原子核と原子核をまっすぐに結んだ結合
       (原子核と原子核を結んだ線を結合軸と言います。)
 π結合 = 原子核と原子核を結ぶ線から離れたところで生じる結合
です。

炭素や酸素などの典型非金属元素は、最外殻にある価電子を使って共有結合します。
最外殻は単純な球殻ではなく、1個の球形をしたs軌道と3個の亜鈴(ダンベル)型をしたp軌道という4個の電子軌道からできています(d,f,g,hの軌道はここでは使いません)。
炭素原子は、最外殻のL殻に4個の価電子を持ち、それが2個以上の原子と結合する時、s軌道と3つのp軌道に1個ずつ不対電子として入ります。

s軌道p軌道は、形もエネルギーも全く違う為、このままでは等価な結合をすることが出来ません。
そこで、軌道の混成をして、いったんs軌道もp軌道もつぶして、新しく全く等価(同形・同大・同エネルギー)の混成軌道をつくるのです。

混成軌道の数は、炭素と結合する原子の数によって決まります。

 ① 相手の原子が2個 のとき
  s軌道1個とp軌道1個 から 2個の混成軌道(sp混成軌道) をつくります。
  混成軌道は点対称に伸びるので、2個のsp混成軌道は直線状につながります(結合角180°)。

 ② 相手の原子が3個 のとき
  s軌道1個とp軌道2個 から 3個の混成軌道(sp2混成軌道) をつくります。
  混成軌道は点対称に伸びるので、3個のsp2混成軌道は
  先端が正三角形をつくるようにつながります(結合角120°)。
  ちなみに、sp2とは、sppのことでpの2乗ですね。

 ③ 相手の原子が4個 のとき
  s軌道1個とp軌道3個 から 4個の混成軌道(sp3混成軌道) をつくります。
  混成軌道は点対称に伸びるので、4個のsp3混成軌道は
  先端が正四面体を構成するようにつながります(結合角109.27°)。

炭素の場合、この混成軌道が相手の原子核にまっすぐに向かっていくσ結合になります。

メタンCH4は、
4つのsp3混成軌道が水素Hのs軌道とσ結合して、正四面体構造の分子になっています。

さて、エチレンC2H4はどうでしょうか?
エチレンの炭素Cは、2つの水素Hと1つの炭素Cの合計3個の原子としか結合していません。
したがって、sp2混成によって1つの炭素は3つのσ結合をつくります。
ということは、炭素1個あたりp軌道が1個余りますね。
この余ったp軌道同士が、横向きにくっついたのがπ結合です。軌道の形はリンク先を見て下さい。

このπ結合ができるために、σ結合1本だけ(C-Cの単結合)なら結合軸廻りに自由に回転できたものができまくなって、シス・トランス異性(幾何異性)ができたり、付加反応が起こったり、共鳴したりします。
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