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低温でのアンモニア合成 [環境問題]

こんにちは~ (^o^)/

アンモニア合成と云えば、ドイツの化学者・フリッツ・ハーバーカール・ボッシュによって開発されたハーバー・ボッシュ法(高圧ガス循環法)ですよね。均一気相反応(反応物質も生成物質も気体である反応)の化学平衡問題で、最も出題される題材の一つです。

窒素の結合エネルギーは945kJ/molときわめて大きいため活性化エネルギーが大きく、高温・高圧が必要ですよね。アンモニアの生成熱は46.11kJ/molの発熱なので、平衡移動の法則(ルシャトリエの原理)から考えれば、低温・高圧の方がアンモニアの生成率が高くなると考えられますが、活性分子(活性化エネルギーを超えるエネルギーを持った分子)の割合が小さく、反応速度が小さくなるため、実用的には300~500℃で反応が行われています。

と、入試でハーバー法の反応温度を高くする理由を問われる記述問題では、解答するのが一般的です。ところが、常温(25℃),常圧(1atm=1013hPa)でアンモニアを効率的に合成できるという記事が、12月14日の産経新聞の記事に出ていました。

------------------------------------------------------以下記事より抜粋

アンモニア合成に新手法

2010.12.14 07:44

 アンモニアを合成する際に大幅なコストダウンが期待できる新手法を西林仁昭・東京大大学院准教授(触媒反応工学)らのチームが開発し、英科学誌ネイチャー・ケミストリー電子版に発表した。

 アンモニアは燃焼させればエネルギーを取り出せ、排出するのは二酸化炭素ではなく窒素と水だけで、環境にも優しい。西林准教授は「化石燃料に代わる次世代のエネルギー源になり得る」と話している。現在の生産方法では数百気圧、セ氏数百度という高温高圧の状態が必要で、そのために化石燃料が必要だった。

 チームは今回、反応を促す触媒として、モリブデンを含む化合物を新たに開発。有機溶媒にこの触媒と、水素を供給するための物質などを混ぜ、窒素を満たした試験管に入れると、20時間ほどで効率良くアンモニアができた。この方法なら、他のエネルギーは不要で、常温常圧という穏やかな条件でも化学反応が進むとしている。

 アンモニアはレンゲ(マメ科)の根の中で、バクテリアの酵素の力を借りて穏やかに合成されることが知られる。今回触媒にした化合物は、この酵素の構造を参考にしたという。

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これが、実用化されれば、一気にハーバー・ボッシュ法を駆逐する可能性もあります。入試での出題も変わることでしょう。

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