脂肪族エステルの構造決定(2011年2月15日明治大学農学部) [C2J-東大化学 日記]
こんにちは~(*^_^*)/
昨日の明治大学農学部でエステルの構造決定が出題されたので、ピックアップしますね。
ちなみに、明治は選択肢(ここでは[25]と[26])と記述(ここでは[103])の混成問題を出します。
まず、(4)の「炭酸水素ナトリウム水溶液を加えたところ中和反応が起こり,炭酸ガスと塩を生じた」の記述より、化合物(ウ)がカルボン酸であることが分かります。「炭酸水素ナトリウム水溶液に発泡して溶ける」は、炭酸H2CO3より強い酸であるカルボン酸R-COOHによる追い出し(炭酸の遊離)を示す重要なキーワードです。ここから、化合物(イ)がカルボン酸(ウ)のエタノールエステルであることが分かります。
次いで、(5)の元素の定量分析(燃焼実験)の結果、二酸化炭素CO2(分子量44)264mg=6mmol,水H2O(分子量18)108mg=6mmolと燃焼に必要な酸素O28mmolより、カルボン酸(ウ)の分子式がC6H12O2と求まります。
最後に(7)より、カルボン酸(ウ)が脂肪酸(直鎖=炭化水素基に分岐無し,モノカルボン酸=カルボキシ基-COOHは1つのみ)のカプロン酸だと分かります。よって、エステル(イ)は、カプロン酸エチルCH3(CH2)4COOC2H5だと決定します。
構造決定の練習は、数をこなして、パターンな問題だけでなく、変則的な非パターンな問題も速やかに解けるよう訓練しましょうね。
ちなみに、清酒のうち吟醸酒では、酵母にとって厳しい条件(① 高度精白米-精米歩合60%以下(精白度40%以上)の精白した米を使うことで酵母に対する栄養分をわざと不足させる)(② 低温でゆっくり発酵させる)で発酵させ、その過程で数多く の高級アルコールを生成させることにより、デリシャスリンゴやバナナのような果物香を持ったエステルを造らせるのだそうです。なお、お酒の芳香には上立ち香(うわだちか),基調香,含み香の3つがあるとか。
もちろん、未成年はお酒を飲むことを法律で禁止されていますよ。
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