生物の元素組成 と 無敵のクマムシ [C2J-東大化学 日記]
こんにちは~ (*^_^*)/
大学入試センター試験(旧 共通一次試験)で、「宇宙( 太陽系) ,地殻,人体の元素の存在比(質量百分率(%))」についての問題(1990年)が出題されています。
1. 宇宙の元素の存在比
宇宙の元素組成などを研究する学問は宇宙化学とよばれる。元素は陽子の数、つまり原子番号によって決まる原子の種類だが、理科年表に掲載されている太陽系の元素組成の表(下図)は(原子の質量数=陽子の数+中性子の数)に対して示されている(質量数で示しているのは、個々の元素合成過程がより明確になる場合が多いとの判断らしい)。
縦軸は対数目盛であることに注意してくださいね。ひと目盛りで10倍つまり1桁ずつ増加しています。ここから、水素HとヘリウムHeの存在比が著しく大きいことが一目で分かりますね。
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※ 図の組成は、太陽表面から届く光を分光分析したり、地球に落下した隕石を分析するなどして測定されたものです。
2.地殻の組成
古くは、クラーク数(地球上の地表付近-地表部付近から海水面下10マイルまでの岩石圏(重量パーセントで93.06%を占める),水圏(同 じく6.91%),気圏(同じく0.03%)の3つの領域-に存在する元素の割合を火成岩の化学分析結果に基いて推定した結果を質量パーセントで表したもの)があります。覚え方は「おっしゃるてカルナ借ります」。最新の研究では、クラーク数とは異なる存在比が得られている為、入試では順番のみが出題されます。O>Si>Al>Fe ですね。
3.生物の元素組成
生物が海から誕生したというのは、多くの人が知っています。海水の組成は、こんな感じですね。
体の元素組成は海水に似ている、といわれています。
【表】人体中の元素濃度 |
[桜井 弘 : 化学と教育 48、459-463(2000)] |
棒グラフで比較すると、確かに似ていますね。
【図】地殻、人体、人血漿および海水中の元素濃度[桜井 弘、廣村 信 : 現代化学2001年3月号、44-51] |
ちなみに、猛毒として知られるヒ素なども、ごく微量の必須栄養素として体内に存在しているそうですよ。
生命元素事典 (OHM BIO SCIENCE BOOKS)
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- 出版社/メーカー: オーム社
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- メディア: 単行本
- 生物に含まれる元素の役割がまとめられています。意外な元素が意外な役割を担っていることに、皆さんはきっと驚くことでしょう。
さて、微量元素はさておき、生体内でもっとも存在比が大きい元素は、酸素O>炭素C>水素Hの順になります。炭素Cは三大栄養素の炭水化物(糖類),蛋白質,脂肪(脂質)の骨格ですから多いのはあたりまえですが、酸素Oと水素Hはなぜ多いのでしょうか?
それは、生命体の質量の6~8割は水H2Oだからです。水無しでは、私たちは生きていけませんよね。いや、人間どころか、強い生命力でよく知られているゴキブリだって、体内の水分を失えば死んでしまいます。
ところが、世界は広いモノで、水分を失っても死なない生物が居るんですね。それが、「緩歩動物のクマムシ」です。
- 作者: あさり よしとお
- 出 版社/メーカー: 学研
- 発売日: 1998/03
- メディア: コミック
- この本で初めて「クマムシ」という生物が居ることを知りました。小学生向けに書かれた本ですが、扱っている分野が幅広く大人でも楽しめる内容です。受験生でも役に立つような知識も載っていますよ。
【科学】最強の生物 クマムシの謎に迫る ゲノム解読し本格分析へ(産経新聞)
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ちなみに、「クマムシ」はこんな感じで動いてます。確かに「熊」っぽいこの「たる(クリプトビオシス)」乾眠状態のクマムシは、151度の高温や絶対零度の低温にも絶え、深海底より高圧(マリアナ海溝の水深1万メートルでも千気圧)の7万5千気圧でも生き延びるのです。もっとも、長期間の「乾眠」から蘇生した後に「乾眠」前と同じような「正常」状態に戻るかというと、微妙なようですが・・・・
- 作者: 鈴木 忠
- 出版社/ メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/08
- メディア: 単行本
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クマムシの生態
陸上性の種の多くは蘚苔類などの隙間におり、半ば水中的な環境で生活している。樹上や枝先のコケなどにもすんでいる。これらの乾燥しやすい環境のものは、乾燥時には後述のクリプトビオシスの状態で耐え、水分が得られたときのみ生活していると考えられる。(記事より引用)
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