精錬と製錬 [C2J-東大化学 日記]
こんにちは~ (*^_^*)/
本日の入試問題より、電気分解でこんな空欄補充問題が・・・・
-------------------------------(東京農業大学2011年3月4日のⅢ)-----
電解質の水溶液に電極を浸し、外部の電池に接続して電流を通じると・・・・(中略)・・・・電気分解という。電気分解では、電源の負極と接続した電極を陰極、正極と接続した電極を陽極という。
工業的には[ 21 ]、[ 22 ]などの金属は電気分解を用いて精製され、[ 21 ]の場合には電解精錬と呼ばれる。
選択肢 ① 陽イオン ・・・・・ ⑤ 銅 ⑥ アルミニウム ⑦ 鉄 ⑧ 化学 ・・・・・
-------------------------------(以上)-----------------------
電気分解によって得られる金属の代表的なもの(高校教科書/化学Ⅰ的に)は、銅CuとアルミニウムAlでしょう。ここで、鉱物から金属を取り出す方法「冶金(やきん)」についてまとめておきましょう。
① 製錬 = 鉱石から金属を取り出して精製・加工すること
② 精錬 =不純物を取り除いてより純度の高い状態にすること
という訳で、電解精錬は、高校教科書では「銅の電解精錬」と登場しますね。 よって、[ 21 ]は⑤の銅と考えるのが妥当でしよう。アルミニウムをアルミナ(酸化アルミニウムAl2O3)を融解塩電解(熔融電解)するのは、鉱物から金属を取り出す「製錬」にあたることになります。従って、[ 22 ] は⑥となる筈(たぶん出題者の意図としては)ですが、本設問では⑦の鉄があるんですよねぇ。溶鉱炉でコークス(から生じた一酸化炭素CO)によって還元されてつくられる場合(製鉄)が多いですが、 電解鉄といって鉄塩水溶液の電気分解によって得られる高純度の鉄もありますから、[ 22 ]は⑦でも正解かと思われます。なお、「精製する」も「不純物を取り除く」の意味ですから、「製造する」または「得る」の方が適切な表現だと思います。
単に「セイレン」と言っても、字が違うと意味まで変わってくる(表意文字である漢字の威力ですねぇ)ので、注意しましょうね。
ついでに、金属がらみで皆さんのお役に立ちそうな本達をご紹介しますね。
<VISUAL ENGINEERING>カラー図解 鉄と鉄鋼がわかる本
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